中東情勢緊迫化と貿易摩擦再燃で金相場は底堅く推移
地政学的リスクと金相場の現状
金価格は、地政学的リスクの高まりと貿易摩擦の再燃が交錯する中で、底堅く推移している。現物金は0.2%上昇し、1トロイオンスあたり5,185.52ドルとなった。また、米国の金先物は0.2%上昇の5,190.10ドルで取引されている。
特に、イランによる海上封鎖が世界のエネルギー輸送に影響を与えているとの報道を受け、押し目買いが入る状況が見られる。米国によるイランへの空爆が13日目を迎える中、紛争が沈静化する兆しは見えていない。イランは、湾岸アラブ諸国の油田や製油所を標的にし、米国とイスラエルに戦争終結を迫るため、ホルムズ海峡を通過する貨物船の航行を事実上停止させている。
イラク水域では、瀬取りに関与したとみられるタンカー2隻が攻撃を受け、同国の石油ターミナルは操業を停止。イラクの領海における海上航行と石油活動の安全が脅かされている。オマーンは、ホルムズ海峡を回避するため、主要な石油輸出ターミナルであるミナ・アル・ファハルからすべての船舶を移動させた。同ターミナルは、ペルシャ湾原油を世界の市場に積み出す最後の場所の一つとなっていた。
貿易摩擦の再燃
トランプ政権は、通商法301条に基づき、主要な貿易相手国16カ国の過剰生産能力を対象とした調査を開始した。これは、最高裁判所が重要な関税政策を無効とした後、関税圧力を再構築することを目的とした動きだ。この調査により、中国、欧州連合、インド、日本、韓国、メキシコなどに対する新たな関税が課される可能性がある。
市場の視点:金投資への影響
地政学的リスクと貿易摩擦の同時発生は、投資家にとって複雑な判断を迫る状況を作り出している。伝統的に、地政学的リスクの高まりは安全資産としての金への需要を増加させる。しかし、貿易摩擦は世界経済の減速懸念を高め、リスク資産からの資金流出を招く可能性がある。現在の状況は、金相場にとって、上昇要因と下落要因が拮抗している状態と言えるだろう。
トレーダーは、中東情勢の推移と、米国による貿易政策の動向を注視する必要がある。特に、ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、原油価格の高騰を通じてインフレ懸念が高まり、金への投資妙味が増す可能性がある。また、米中間の貿易交渉が再び停滞すれば、世界経済の不確実性が増し、安全資産としての金への需要が一段と高まることも考えられる。
金相場は、短期的には不安定な動きが予想されるが、長期的には地政学的リスクとインフレヘッジの観点から、ポートフォリオに組み込む価値のある資産と言えるだろう。特に、XAUUSDの動向、原油価格(Brent、WTI)、主要国の株価指数などが、金相場に影響を与える可能性が高い。